planetarian ~ちいさなほしのゆめ~
感想第一弾はKey作品の「planetarian ~ちいさなほしのゆめ~」です.
私はこの作品が全てのゲーム,アニメ,漫画,小説の中で一番好きです.
作品の初出が2004年で,アニメ化が2016年と実に12年もの歳月を経ています.そこから全国各地のプラネタリウムにおける特別投影,アナログレコードやOVAのクラウドファンディングがありました.それだけコアなファンが長くついているということですね
まず世界観が良い.戦争の生物化学兵器によって荒廃した”封印都市”にあるデパート屋上のプラネタリウムの解説ロボット”ほしのゆめみ”と,そこへ迷い込んだ”屑屋”のお話.
ゆめみは投影機の”イエナさん”と何十年も前から人々の帰りを待ち続けています.それは避難直前の館長さんの言葉を信じているから.そんなところに屑屋がやってきます.最初はうざったがっていた屑屋もゆめみと触れ合ううちにイエナさんの修理をしたり,特別投影を見たりとゆめみに対する感情が徐々に変わっていきます.
プラネタリウムを去る際に屑屋はゆめみを封印都市から連れ出そうとします.こんな街で朽ちてほしくないと.
しかし屑屋の願望は崩れ去ってしまいます.街から脱出する際に戦闘ロボットにやられかけるところをゆめみに助けられます.そのせいでゆめみは壊されてしまうのです.
ゆめみは最後に大切な思い出としてメモリーカードを屑屋に託します.
実はゆめみは本当は人間がこの街に戻ってこないことが分かっていて,にもかかわらず未知のバグだとして館長の言葉を信じて人々の帰りを待っていたのでした.そして屑屋がやってきたのですから,ゆめみの考えは'正しかった'のですね.
作品の最初からゆめみのポンコツ具合が垣間見えるのですが,これが最後のこの伏線につながっているというのがたまらないのです.
そんなゆめみに対し屑屋は最後に嘘をつきます.封印都市の外側にゆめみの星空解説を待っている人たちがいること,プラネタリウムでいっぱい働けること.絶滅を待つしかない人類にそのような余裕はないはずなのです...
街から脱出する屑屋は決意します.ゆめみの代わりに,ゆめみと一緒に人々に星空を見せようと.この話はドラマCDおよび劇場版の「planetarian ~星の人~」につながります.そちらも今度紹介します.
さて作品紹介をしてきましたが,とにかく多くの人にこの作品に触れてほしいと私は思っています.原作のキネティックノベルでも,アニメでもボリュームが大きすぎないため気疲れせずに完走できると思うのでぜひ.
この作品に出てくる封印都市とプラネタリウムにはそれぞれモデルがあります.封印都市は'音楽の街'浜松市,デパートは今はなき松菱百貨店,プラネタリウムは明石市立天文科学館です.
浜松ではホテルレオン浜松さんという素晴らしいホテルがありまして,フロントにはplanetarianコーナーがあり,聖地巡礼マップも配布されているという.皆さん,聖地巡礼にはぜひ活用しましょう.
そして明石市立天文科学館は,有名な標準時子午線上にある科学館です.入場料が700円とめちゃ安いのに非常に見ごたえがあります.
そしてイエナさんはそこにある日本で一番古い現役の投影機です.
なんとplanetarianの原画を描かれた駒都えーじ先生のサイン入り色紙が飾ってあるという.ファンなら絶対に訪れるべき,ファンでなくとも楽しめるとても良い施設ですよ.
長々と語ってきて,私のこの作品に対する感情は伝わりましたでしょうか?
他に全国各地の特別投影に関しても語りたいのですが,星の人について記事を書くときに取っておきましょう.
最後になりますが,2024年7月1日現在steam版がセールで440円で買えるのでよかったらぜひ.